~ひと月の幻~    

    箱根登山鉄道の全線運転再開に際し、PRのために普段小田原~箱根湯本で運行されている箱根登山鉄道色(ベルニナ色)の小田急1000形4連が、1ヶ月限定で新宿口へ乗り入れたのは、記憶に新しいこの夏の印象深いイベントだった。8月中旬に尿膜管摘出手術を控えていた私は、広島へ行って以降なるべく外出を避けていたのだが、やはりこの一大イベントは何らかの形で記録に残すべきだろうと思い、満を持して小田急沿線へ繰り出すことにした。
    この暑い中、編成写真を撮るために早い時間から同業者と肩を並べてじっと待つというのは、モチベーション的な面からも耐え難いものであった。連結面だけでも撮ろうと思い、この日は多摩川の河川敷へ下りた。

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1229レ:急行 小田原行
小田急1000形1254×6+1059×4(箱根登山鉄道色)
    スイスのレーティッシュ鉄道と姉妹鉄道協定を結ぶ箱根登山鉄道。ベルニナ急行の色を纏う1000形は、こうするとより一層華やかに見える。後ろにE233系が裏被りしてしまったが、E233系2000番台にはここまで来ないと出会えない上、単線の箱根登山鉄道には「被り」という概念は存在しない。新宿口でしか見られない光景を撮れた。

    1ヶ月というとても短い期間限定で行われたこのイベント。やはりこんなに早く終わってしまったのはちょっと勿体ないと思う節がある。欲を言えば、冬辺りに、今度は小田原方に連結させて、また走らせてくれないだろうか……

撮影地:小田急小田原線 和泉多摩川~登戸